最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)1143 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人代表清算人南館金松の上告理由について。
原判決ならびにその引用する一審判決が、破産者DがEに金五五万円で売却した
とするDの「菓子部店舗、営業権並びに備品一式」なるものが、いかなる権利を意
味するかについては、原判決の説示のきわめて不十分であることは論旨摘示のとお
りである。しかし、原判決ならびに一審判決の全文を通読すれば、右は、原判決は
「Dはかねて名古屋市a区b町所在A市場において菓子部店舗を所有し、菓子販売
業をしていたが、昭和二六年二月一〇日右市場が株式会社組織に改組されるに際し、
Dは右店舗を現物出資し之に対し一株の額面五〇円全額払込済株式三、三〇〇株を
与えられた」との事実からして、(以上の事実関係については上告人代理人におい
てこれを自白したことは記録上明白である)Dの財産として、「上告会社の株式三、
三〇〇株に化体された市場内菓子部店舗並備品一式(以上の見積価格合計金一〇四
万円)」と説示しているのであつて、結局右は、Dが上告会社市場内、D名義の菓
子部に関して有していた営業権その他一切の権利を指称するものであることは、原
判文上これを看取し得ないことはなく、Dがかかる権利全部を金五五万円でEに売
却したことは、原審において、上告人代理人もこれを争う意思のなかつたことは、
原審の弁論の全趣旨からうかがうことができるのみならず、本件は右売得金五五万
円をもつて、Dの上告会社に対する債務を弁済した行為を否認することを訴旨とす
る案件であつて、右弁済行為自体については当事者間に争のないところであるから、
原判決の前記説示の不十分は、ひつきよう右破産者Dが弁済金入手の経緯に関する
ものに過ぎず、未だもつて、原判決を破棄すべき瑕疵とするに足りないものという
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べきである。�
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
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